院長ブログ

26JUN

歯冠破折処置2週間後に

2006年06月26日

来院した小学校3年生。実は受傷直後、歯科に破折片を持参して受診したとのことですが、前医は「どうせひと咬みで外れるだろう」と接着はせずCR充填。お母さんは、他の誰かがなんとかしてくれないかと破折片を保管していたとのことでした。そんなわけで時間をおいてですがわが尊敬する同僚T先生の紹介で来院しました。
谷岡くん.jpg

持参した破折片を接着するかどうかを考えるうえで本人とお母さんとに伝えたかったことは
1。みっともないし対合歯の挺出も防ぎたいから、歯冠の回復はしたほうがいいと考えます。ただし接着剤で張り合わせてあるだけなので外れる覚悟は必要です。変色もするでしょう。
2。でも成長が終わるまで歯を削ったり被せたり、神経をぬいたりしないほうがいい。
3。もしうまくいかなかったとしても原状(歯冠は回復せず充填のみ)にならいつでも戻れるから、トライする価値はある。何度も外れて困るようなら、それからCR充填を考慮するのもよい。

前医による処置は、歯髄保存の観点からは成功といえるのではありますが、2w後とあってすでに数mm上顎中切歯が挺出していて咬合調整が必要でした。マイクロスコープ下で破折片を接着しました。
外傷2.jpg

どこまで真にご理解いただけたか不明ではあるし、いつ外れるかどうか予後の見通しもわかりません。お近くの方であればもし外れたらいつでも再接着するからすぐいらっしゃい、ともいうのですが、今回は遠方からみえたのでそうもいかないでしょう。ずっとフォローアップして経過観察したいところではあるのですが。

成長を終えるまで、なんとか時間稼ぎをしてほしいものだと切に願うところです。

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