院長ブログ

27DEC

「歯科の『ケア』」と「口腔ケア」

2006年12月27日

いつの頃からだったか当院のキャッチコピーを「 CureからCareへ」として「歯周治療、予防、メインテナンス」を旗印に掲げてきました。要するに「すでにかかってしまった疾患の治療のみならず再発予防。そして発症の予防」ということです。目標としてきた成果は充分あって、重度歯周病だった患者さんを術後10年以上メインテナンスを継続しその後一本も歯を失わないで維持している症例がどんどん増えてきています。私の3人の子供たちにも当然ながら虫歯は一本もありません。偶然ではなく計画的にしてきた成果です。
私たち歯科(医)のいうCareとはそんなところです。
ところが以前から介護その他歯科以外の職種のひとたちとの会話でどうも口腔ケアの中身がかみ合わないように思い、違和感を感じ続けていました。それがここにきて謎が解けてきました。それは我々歯科医の対象は健常なひとであることが大半であり、ケアの対象は虫歯や歯周病です。それに対して歯科以外の職種の方たちがいっている「口腔ケア」とは、要するに「誤嚥性肺炎の予防のための口腔内清掃」のことなのです。そう考えて区別すれば誤解や混乱が解消できると思います。
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「口腔ケア,摂食嚥下」の講習会にどこも数百人単位の受講生で熱気にあふれているとのことです。でもそのなかに歯科関係者はわずか2割とのこと。口腔内のことは歯科がプロであることはまちがいないのに、逆にひとり置いてきぼりをくっているみたいです。また介護のひとたちが、最近色めき立っている背景には口腔ケアの重要性を知り始めたということだけではなく「保険点数」があると思われます。その一方歯科にはそれがあまり反映されないことや診療報酬改定その他のことから経済的にも心理的にも余裕がもてないこともあって全体的にはいまひとつ機運が盛り上がりません。「口腔ケア」の多くは特定の歯科医そのスタッフの善意でのみ行われていることが実情なのではないでしょうか。
いずれにしてもこれはゆゆしき事だと思うのは私一人でしょうか?

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