院長ブログ

31JAN

「矯正臨床の基礎」与五沢矯正研究会編著

2009年01月31日

もし生まれ変って自由に職業が選べるとしたら、私のなかでかなり上位に来るのは「矯正専門医」なのです。矯正専門医への憧れは最初は確か大学に入る前、その次は卒直後。諸事情から専門の道に進むことはやむなく断念して普通の歯医者になることにしました。その後矯正医の診療の見学やお手伝いを数年間させてもらいそのうちあわよくば、などと考えていましたが、、、。10数年前初めて澤端喜明先生のケースプレゼンテーションをみて「これこそ『プロ』の仕事だ、普通の歯医者が片手間にすることではない」とついに観念したのでした。その澤端先生が編集者のひとりで山田秀樹先生が執筆者のひとりで、企画からクインテッセンス出版から発刊まで5年を要したという大著をいただきました。
%E7%9F%AF%E6%AD%A3%E8%87%A8%E5%BA%8A%E3%81%AE%E5%9F%BA%E7%A4%8E%2C.jpg
センスのいい装丁の雰囲気や余白を残したレイアウトがなんだか「語る会Proceeding」に似ているなあと思ったらグノーシス小長谷さん編集でした。やはり。
Dr.Angle Dr.Tweed ら偉大な先達の経験や知恵を礎として、与五沢文夫先生らが構築してきた日本人にあった現代の矯正臨床を整理してまとめ後世に継承しようという著者らの意気が全編から満ちあふれています。著者はすべて天才与五沢先生の技術やフィロソフィーを学ぼうと参じた高弟たちで、矯正臨床医として社会と接している矯正医たちであるだけに教科書としてだけではなく「臨床の現場から」「Note」というコラムが要所に配されていてビジュアルな内容とともに専門医たちのうんちくや未解決な問題などを垣間みることができます。
「矯正臨床をとりまく社会環境の変化によって、その時々の真摯な対応が必要であろうが、質の高い矯正治療を提供するべく、個々の矯正歯科医が歯科医師としての衿持を保ち、高い倫理観のもと自己研鑽を続ける姿勢が最も重要であるという点は今後も普遍的なものと考える。」という一文はそのまま「歯科臨床」と言葉をかえても全く同じでしょう。

カテゴリ

このページの先頭へ戻る